ニワトリの特徴・体のしくみ・飼育と繁殖
このページでは、ニワトリの分類と歴史、体の特徴、飼育・繁殖について、過去に作成した原稿を生かしながら一つにまとめています。
分類
分類
ニワトリはその学名をGallus domesticus といい、脊椎動物亜門、鳥網、キジ目(鶉鶏目)、キジ科、ニワトリ属に属する種である。
その動物学的分類を示す。
- 脊椎動物門 Phylum Cordate
- 脊椎動物亜門 Subphylum Vertebrata
- 鳥網 Class Aves
- 新鳥亜網 Subclass Neuounithes
- キジ目(鶉鶏目) Order Galliformes
- キジ科 Family Phasianidae
- ヤケイ属 Genus gallus
- ニワトリ Species gallus
歴史
歴史
ニワトリ属には赤色野鶏(Gallus gallus)、灰色野鶏(Gallus sonneratii)、セイロン野鶏(Gallus lafayetti)、アオエリ野鶏(Gallus varius)の4種の野鶏が属している。
このうちニワトリの祖先(野生種)は、現在でもインドから東南アジアにかけて野生している赤色野鶏であると考えられていた。
これは、進化論で有名なダーウィンが、これら 4種の野鶏と現在のニワトリとの間に雑種ができるが、この一代雑種に繁殖力のあるのは赤色野鶏との雑種だけで他の野鶏との間の一代雑種は一般的には繁殖力がないことからこの説が有力であるとした。
しかし、最近ではこれらの雑種ができることがわかり、この説は見直され、近年は遺伝子による解明が行われている。
この主要な祖先である赤色野鶏はインド、ビルマ、マレー、タイなどの地域で5,000年前に畜産化されていたと考えられる。
ニワトリの実用的な経済動物としての育種はローマ帝国時代にはじめられていたようであるが、近代的な卵用鶏や肉用鶏等の育種の歴史は比較的浅い。
形態・生理
特殊な体表
体表は爬虫類の角鱗から進化したものとみられる羽毛におおわれている。
ニワトリの皮膚は薄く、血管、神経が乏しく外傷による出血は少ない。
汗腺はない。
羽は皮膚の表皮層から発達した鳥類に特有の角質器であり、発育中に換羽しながら成長していき、成長後も夏から秋にかけて年1回換羽が行われる。
このほか、嘴、けづめ、脚鱗に包まれた下腿部などが特徴的である。
肉冠と肉垂と耳朶
これらはニワトリ類特有のもので、皮膚の真皮が肥厚し、この部分は動静脈吻合に富む毛細血管網で形成される。
肉冠には単冠、バターカップ、V型冠、ばら冠などがある。
耳に耳介はなく、耳小骨は小柱骨一つである。
白色レグホーン種のような耳朶の白いものは真皮の毛細血管網がほとんどなくなり、白色の色素プリンが沈着したものである。
骨格
ニワトリの脊椎は14個で哺乳類の倍である。
また鳥類に特有な構造として、気嚢により骨が含気骨化して、軽く丈夫な構造をもっている。
また、産卵している個体は骨髄の中に卵殻を形成するための特別なカルシウムの貯蔵所として髄骨をもっている。
ここでは卵殻の形成状況によって破骨細胞や骨芽細胞がカルシウムの収支バランスを取っている。
循環器と血液
鳥類の心臓はニ心房ニ心室であり、成熟した赤血球でも有核である。
呼吸器と鳴管と気嚢
家禽の喉頭は家畜とは異なり、喉頭蓋はなくスリット状の喉頭口が閉じて、食物が気管に入るのを防いでいる。
この喉頭口より気管に連続し、さらに気管支より、肺に入り二次気管支、air capillary(肺のガス交換部)と続く。
また、横隔膜は、痕跡的である。
なお、ニワトリの気管、気管支は軟骨輪が完全に閉鎖し、哺乳類のような背部の膜性部はない。
鳴管
ニワトリには哺乳類の喉頭にある声帯はない。
気管が胸部で気管支に分かれて肺内の二次、三次気管支へ続く。
気管支胸部が偏平な形をした部分があるが、これが鳴管である。
気嚢
鳥類に特有の器官で、気管支枝の一部が肺を貫通し、さらに肺外の内臓間、筋肉間、骨質中に延び拡大したものである。
気嚢は薄く透明な2層の膜でできており、これら2層間に少量の結合織を挟む。
内層は気管支から連続の粘膜で、外層が体腔漿膜の連続である。
気嚢の働きとしては、①鳥の体を軽くし、②呼吸を効率的に行い、③体内で発生した熱を冷却することが考えられる。
消化器は特徴的・・・胃は3つ?
ニワトリを解剖すると、腸より上部の3ヶ所にエサがみられる。
一番上は食道壁の一部が拡大した憩室があり、そ嚢と呼ばれる場所である。
口の中に歯の無いニワトリはここに急いで食べたエサを一時的に貯留しておく場所で、胃ではない。
そ嚢内ではアミラーゼによりデンプンの一部を消化する。
胃は、胃液を分泌する腺胃と消化・分解を行う筋胃の2つがある。
筋胃では、蓄えた小石による機械的消化とペプシンによるタンパク質分解を行う。
盲腸は一対でよく発達している。
小腸は長いが、結直腸は短く末端は総排泄腔と呼ばれ、ここには尿管も開口する。
このため、ニワトリの糞は尿と混じって白く見えることがある(べつに茶色の盲腸便もみられる)。
生殖器
雌
すべての鳥類の雌は胚の時には一時期、右の卵巣と卵管が存在するがやがて退縮して、孵化した時点でタカ類以外の鳥類で左の卵巣、卵管だけがみられる。
また、右側の卵管はミューラー管として遺残し、時に嚢腫をつくる。
卵巣は背中の中程(腰仙骨部)にあるが、成熟期になると腎臓から送り込まれる卵黄物質によりブドウの房状に発達し、やがて成熟した卵胞の中野卵黄が卵管のロート部と呼ばれる部分に入って行き(排卵)、さらに卵管膨大部でカラザや卵白が分泌される。
次に卵管峡部で卵殻膜、子宮部で20時間程かけて回転しながら炭酸カルシウムの卵殻が形成され、膣部を経て産卵される。
おおよそ25時間ほどの過程である。
雄
雄の精巣は腹腔内の腎臓の前部、腹側に一対あり、精液は精路を通じて総排泄腔に送る。
泌尿器
ニワトリの泌尿器は左右一対の腎臓と尿管からなり、膀胱、尿道はない。
そのため腎臓より濾過された尿は尿管を通り、総排泄腔に入り糞と一緒に排泄される。
哺乳類は体内の窒素を尿素の形で尿中に排泄するが、鳥類は主に尿酸の形で排泄する。
このため、腎臓障害が生じたとき容易に尿酸塩沈着症(痛風)が起こるといわれている。
ファブリキウス(F)嚢とハーダー腺
ファブリキウス(F)嚢は鳥類に特有のリンパ上皮性の器官で、総排泄腔の背側にある。
F嚢はBリンパ球を産生する中枢リンパで、内腔は表層上皮で覆われている。
場所によってはリンパろ胞が内側に接する場所では抗原などをろ胞内に取り込む機能があるといわれている。
ニワトリでは20〜27週齢までには完全に退縮する。
ハーダー腺は眼窩後方の外側にあり瞬膜の潤滑性を保つための分泌腺であるが、固有層にはリンパ組織がみられる。
2週齢以降発達して成鳥でも認められる。
鳥類には哺乳類のようにリンパ節がないため、ほかに免疫にかかわる器官として盲腸扁桃、脾臓、骨髄などと気管や腸の粘膜固有層のリンパろ胞様のリンパ球集合が働いている。
換羽
鳥類は繁殖期を過ぎると換羽をして、新しい奇麗な羽になる習性をもっている。
換羽の引金は卵巣機能の低下によるエストロジェンの分泌不足といわれている。
卵巣機能の低下は秋から冬にかけての日照時間の減少や病気による体力の低下、餌の不足によることもある。
また、孵化後成鳥になるまでに数回の換羽を繰り返して成長していく。
飼育・繁殖
繁殖
孵化には母鶏を用いる場合と、孵卵器を用いる場合がある。
孵卵期間は21日間であるが、様々な条件を満たさなければ孵化率は良くない。
種卵
交配のための雄と雌の比率は、雄1羽に雌5〜10羽といわれているが雌は4〜5羽が良い。
卵の大きさはあまり大きかったり、小さいものは避け中位のものを選ぶ。
卵の保存温度は10〜16℃がよく、湿度は75%前後が最適である。
保存期間は7日以内では孵化率に影響しないが21日間では50%近くまで低下すると言われている。
また、転卵しながら保存すると孵化率の低下が軽減したという報告がある。
母鶏孵化
卵を温める巣鶏が必要である。就巣性の残る改良の進んでいない日本鶏やチャボの雌が選ばれる。
事前に介卵性の病気を治療したり、疥癬などの寄生虫の駆除をしておく。
巣箱は薄暗い静かな所に置いて、底に3cmくらいの厚さに湿った土を敷きその上に藁を入れ皿状にしてやる。
母鶏は1日に1〜2回採食と排糞のために巣から出る。
これは孵卵器でも必要であるが卵の周囲の温度変化や酸素の供給が卵の発育に良い効果を与えるものである。
母鶏用の餌や水と砂浴び施設を近くに設けておく。
介卵性の病気
鳥類はヒナに母鶏の病気(や抗体)を卵を介してヒナに伝わる(受け継ぎ)。
時には孵化の途中で発病して死んだり、虚弱なヒナが生まれる(病気の予防が重要)。
人工孵化
電気孵卵器による孵化で、温度は卵の上端で38.9〜39.4℃に保つ。
湿度は40〜70%が最適である。
孵卵中の卵は気室のある鈍端を上にする。
また、卵を回転する転卵も重要な作業である。
回数は多い方が成績が良く、1日3回転卵した時の貯化率は74.7%、1日24回転卵の場合の貯化率は78.0%という報告もある。
転卵の角度は45〜60度が良い。
検卵
孵卵中に、検卵を行って無精卵や発育中止卵を取り除いたり、胚の発育状態をチェックする。
検卵は上部に1.5cm位の穴をあけた箱の中に電球をつけ、上に卵を置いて暗い部屋の中で観察する。
3回行うが、1〜2回で判断する人もある。
検卵の日とポイントは次の通りである。
1回目(孵卵5〜7日目)
発育卵はやや赤色を呈し、胚から四方に血管が伸びている。
2回目(孵卵12〜14日目)
発育中のものでは気室が明るく、それ以外は暗いので気室との境界が明瞭である。
気室の近くまで血管が走っている。胚が時々動く。
3回目(孵卵18日目)
発育卵は全体に黒く見え、気室の容積が拡大してくる。
気室と胚の境界のところで胚が動いているのが観察される。
飼育舎
ニワトリを飼育する場合、一般的には屋外の飼育舎でコンクリートや土間の床が多いと思われる。
広い場所で自由に運動させ、生態を観察するには一番良い方法である。
しかし、野外飼育は常に目が届くわけではないので、事故や病気の発生しにくい構造がよい。
気温
ニワトリは暑さには弱く、寒さには強い。
梅雨明け前後のその年一番の暑さの日は熱射病の危険日である。
また、冬に冷たい、強い風が吹くと頭を風上に向け、体を低くする。
強い風が嫌いなようである。
夏は西日を避け、冬は反対に日当たりが良く、冷たい風が吹き込まない構造と場所が確保できるとよい。
トタン板の屋根の下には断熱材が必要である。
床と運動場
基本的には多湿の状態は苦手である。
運動場の砂や土は堀り起こして常に柔らかくして、砂浴びが出来ると外部寄生虫の対策になる。
放し飼いのニワトリの糞は棲架(とまりぎ)の下と餌の周囲に半分以上集中するので、この場所で掃除をすると楽である。
気温が高くなると、汗腺のないニワトリは呼吸数と飲水量を増やして体温を下げようとする。夏期の飲水量は冬期の3倍にもなるので糞は水っぽくなり、床も湿りやすい。
糞掃除の時に糞の色や形状を観察して健康状態を把握したい(緑便、血便、下痢便…)。
棲架(止まり木)
ニワトリが夜間に寝る場所で、飼育舎の一番奥の安心できる所に作りたい。
壁から30センチ離して、床から1mくらいが良い。
一羽に30cmの幅を用意してやる。
横木に殺虫剤や防腐剤を塗っておくとダニなどの外部寄生虫対策になる。
餌箱と水入れ
ニワトリは配合飼料のような粉状の餌を食べる時は水と交互に口に運ぶから、餌箱と水入れは並べて置くのが良い。
餌箱の上に乗って掻き散らす性質があり、餌箱や水入れに脚が入らないように柵を設け、高さは胸(そ嚢)の位置が良い。
また、餌箱と水入れの下や付近は湿り易く、糞の量も多いので不潔になりがちである。
この場所は一段高くして、すのこやケージにすると衛生的であり、糞の処理も楽である。
ケージ
ニワトリは群の生活になれているが、新入りについては、いじめる時がある。
また、雄同士は縄張りをめぐる闘争が起こるので隔離が必要になる。
この場合はケージに収容するが、すのこは足を落ちない、糞の詰まらない位の細かさが望ましい。
餌入れと水入れは壁掛け式がひっくり返さず清潔である。
産卵箱
産卵している羽数の3羽に1個の割合でよい。薄暗くしておく。
あまり明るいと他のニワトリに肛門をつつかれて脱肛から腸まで損傷を受けて斃死するものもあり、注意が必要である。
餌
成鳥
ニワトリは雑食性であるから穀類、糠類、動物性蛋白質、緑餌、ミネラルなどが餌となる。
但し、バランスが重要で、カルシウムの不足でくる病が発生したり、カロリー過多により脂肪肝の症例の経験がある。
配合飼料
最近では配合飼料の利用が多い。
粉砕した穀類、魚粉、乾操した植物、カルシウムやリンなど微量成分を配合したものである。
穀類は粉砕していないと消化率が低い。
産卵している個体がいて、卵をたくさん取りたければ産卵鶏用を与える。
野菜、果物は手に入る時は併用してあたえる。
野菜・果物
人の食べているものは基本的には与えられる。ネギ、ニラ、ニンニク等も大量でなければ元気のでる食品である。
育成期
ニワトリは生後12週齢までに、骨格の骨組みの大きさ(フレームサイズ)がほぼ決まってしまうといわれている。
また、ビタミンやミネラルの不足による疾病や発育異常が数多く知られている。
これらのことから配合飼料の利用が安心である。
育成用の配合飼料は産卵鶏用では、生後4〜5週令まで与える幼雛用と、4〜5週齢以降10週齢まで与える中雛用、10週齢以降から産卵を始める頃まで与える大雛用の3種類があり使い分ける。
ヒナの管理
温度と湿度
孵化したてのヒナの数が少ないと温度は保ちにくいが、4〜5週間は保温が必要である。
育雛器の温度は、初めは36〜37℃に設定し、2〜3日はその温度で換気と湿度に注意しながら様子を見る。
以後1週間に2〜3℃ずつ下げて4〜5週間で廃温(保温をやめる)する。
この時の室温は18〜20℃程度がよい。
育雛器の湿度は初めの3〜4日は70〜75%が必要である。
育雛器の内側にタオルをさげ、下の水盤の水に漬けるようにして湿度をとる。
湿度は10目令以降は少しずつ下げて40〜60%程度で良い。
照明は初めの3〜4日は24時間で以後少しずつ減らして自然日長にしていく。
雛の餌付け
ヒナは孵化してから25〜60時間位して、初めての餌を与える。
これを餌付けと言う。
ヒナがこの間なにも食べないのは、卵の時代の栄養分が体内に残っているからである。
初めての餌は配合飼料の幼雛用がよいが、手に入らない時は水に浸した小米、または小鳥の餌(アワやヒエの入った)を煮たものとゆで卵の卵黄を砕いたものを混ぜて与える。
初めは餌を食べないようであったら、紙の上でヒナの近くにバラバラと餌を撒いてみる。
また、餌のある所を尖らせた割り箸でつついてみると、ヒナはその動きを追ってマネをしながら餌付く。
水はヒナを軽く掴んで水入れに顔を突っ込んで嘴を濡らしてやるか、水面が良くみえる位置にして(目の高さが良い)やると興味をもって突ついて水を飲むようになる。
餌は成長するに従って魚粉や野菜など与えてゆくか、配合飼料に変えてゆく。
当カテゴリーは、かつて学校で飼育する動物を学ぶために作成された資料をもとにリニューアルしたものです。